サイバー社会で生きていくぼくらに必要なこと

個人がアクセスできる情報量が爆発的に増加してしまった現在では、個人が脳内に保存しておく情報量の価値が対的に下ってしまった。GoogleなりYahooなりで検索すれば、普遍的な事実については正確な情報がほぼ間違いなく取得できる。そんな時代になっても価値があるのは、何か知っていることではなくて、何かを考えることである。言いかえれば、インターネットで検索するだけでは得られない情報を生み出すことに価値がある。単なる物知りの価値はGoogle検索を効率良く利用できる人と大差なく、それよりも、既存の事実に基づいて論理を組み立て別の事実を導出することができる人物が重宝される。

ところで、今後より一層そういう側面が強くなっていくはずだが、日本の教育はそれに対応できているのだろうか。ゆとり教育が失敗したのは何も授業時間を減らしたからではなく、授業内容が変化しなかったからだろう。もちろん多少なりの変化はあったんだろうけれど、変化の量も質も十分ではなかったのだと思う。さらに、ゆとり教育が失敗したからといって昔のやり方に戻すというのは本当に愚策で、本来はもっと別の形の教育制度を目指すべきだった。本当はこのあたりの問題についても論じてみたいけれど、今回はちょっと別の話。

さて、情報を記憶しておくことの価値よりもものごとを考えることの価値が重くなるのは事実であるが、これは情報を効率良く検索できる能力が備わっていることが前提となる。

情報検索には大きく分けて二種類あり、自分が知らない情報を検索する場合と、自分が知っているはずの情報を検索する場合である。ぼくが特に気にしているのは、この自分が知っているはずの情報を検索する場合である。自分が知っているはずの情報というのは、情報の断片だけは記憶しているが全体像として不十分で、それだけでは情報として役に立たないようなときに、その情報を補完するために検索することを指している。つまり「あれ、前にどっかで見たことあるはずなんだけど、なんだったかなー」というときに情報検索する場合のことだ。そういった、かつてインターネット上のどこかで見たはずの情報に対してはできるだけ効率的に検索したい。この世のどこかに間違いなく存在していて、かつ、自分がアクセスできるはずの情報に対しては可能な限り迅速にアクセスできるようにしておきたいのだ。

そのためにどうすべきかと言うと、ようは検索範囲を絞れるようにしておくべきだ。Googleで全世界の情報から探す必要は全くなく、かつて自分がアクセスしたページから検索できれば良い。safariの場合、アクセスしたページを全て履歴として保存してるからこの手が使えるけど、ぼくはOperaユーザ & Firefoxユーザ & Safariユーザだったりするのでブラウザの履歴が三つに分かれてしまっている。それに家のマシンでアクセスした履歴と会社のマシンでアクセスした履歴も異なる場所に保存されるから、なかなか難しい。そこで妥協して、必要そうなものをソーシャルブックマークに登録するという方法になる。はてなユーザだったらはてブ使ってるだろうし、一番の有名どころであるdeliciousを使っている人も多いだろう。現状では、この方法が一番妥当だと思っている。価値があると思える情報をできるだけブックマークしておいて、必要なときにそこで検索をかけるようにする。

また、自分専用のブログなりwikiなりを作成することも意味がある。この場合はブログ内検索などで検索範囲を絞ることができることにも意味があるが、それ以上に情報のアウトプットという行為自体に意味がある。情報をアウトプットすることで、情報の整理、記憶の定着などのメリットが生じるので、ぜひ情報のアウトプットは習慣付けるべきだ。まあ、ぼく自身があまりブログ書いていないのであれなんですが。これからはできるだけ書きますよ。

記憶の定着を助けるなんて主旨と矛盾しているようにも感じられるかも知れないが、ぼくは別に脳内に記憶しておくことの価値がなくなるとは言っていない。いままでよりは価値が軽くなるというだけで、知識が多いに越したことはない。ただ、覚えることに時間を費やすよりも、考えることに時間を費やすほうがいいと言っているだけだ。

外部に公開する必要がないような情報をまとめておくためにローカルwikiを使ったりもしている。会社で使うマシンはwindowsなので、それには紙copiを入れて使ってたりする。そして、そのデータファイルはDropboxに置いているから家からでも情報にアクセスすることができる。外部に公開する必要がない情報といっても別に顧客情報とかじゃないから、Dropboxに入れておいてもいいかなと。ちなみにローカルwikiとして使っているのはmoinmoin。モインモイン。発音しづらい。

まとめると、ぼくが自分の記憶を補助する目的で情報を保存しておく場所は以下の4つ。

「どっかで見たけどなー」という情報を探すときは何よりもまずこれらの中から探すようにしている。けどまあ、いきなりGoogleで検索かける場合も多いような。Googleで探して見つからなくて、これらの中から検索するという順番のほうが多いか。

本当はもうちょっと数を減らすべき。ローカルwiki紙copiがいまいち目的分けできていないから、どっちか削る予定。たぶん紙copiを削る。Macユーザなんで。この場合、ローカルwikiのデータ保存先をDropbox内に変更する。

ただし、本当に重要なのは、これらのデータソースに以下に効率良く情報を貯めることができるかである。情報を貯めるコストをできるだけ減らさないと情報は貯まらないから。そういう意味では、はてブFirefox拡張ができてまた一つ便利になりましたね。Tomblooでも十分だった気もしますけど。さて、SafariにもTombloo的な何かが欲しい。誰かSIMBL Pluginとして作ってくれないかしら。ひょっとしたら、すでにどこかにあるのかしら。あとで探してみる。

結論

サイバー社会で生きていくぼくらに必要なことは、インターネットを利用して脳の外部記憶装置を効率良く形成できるようにしておくことである。